憑代の柩
「……シャイなんですよ、彼女」
と言うと、女は不思議そうにこちらを見る。

「少し目が悪いみたいだし。

 霊になってもそうみたいで、あんまりこっち見えてないんですよね」
と一点を見ながら言うと、ひっ、と彼女は身をすくめる。

 ははは、と笑い、

「大丈夫ですよ。
 今、此処には居ません。

 っていうか、恐らく、もう私の前には現れませんから」
と告げた。



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