憑代の柩
「本田さん、貴方とだったら、あづさは幸せになれたでしょうにね」
だが、本田は首を振る。
「僕の見ていた『佐野あづさ』は、御剣衛のために作られた人間だった。
彼女は結局のところ、最初から最後まで、衛さんしか見てなかったんです。
僕の前でも、最後まで、佐野あづさだったんですから」
はい、と本田に渡された、土で汚れたビニール袋が重かった。
いつも穏やかな表情を浮かべている彼の本心をずしりと受け取った気がしたから。
だが、本田は首を振る。
「僕の見ていた『佐野あづさ』は、御剣衛のために作られた人間だった。
彼女は結局のところ、最初から最後まで、衛さんしか見てなかったんです。
僕の前でも、最後まで、佐野あづさだったんですから」
はい、と本田に渡された、土で汚れたビニール袋が重かった。
いつも穏やかな表情を浮かべている彼の本心をずしりと受け取った気がしたから。