憑代の柩
「今の貴方が私を好きでないとしても」

 衛の口許が小さく動いた。

 彼の手が自分に触れ、口づけてくる。

 そのまま、自分の上になる彼の顔を間近に見て笑ってみせた。

「……悪い大人になりましたね」

 そう囁き、その頬にそっと触れた。
 


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