憑代の柩
『何かあったんですか』
と最初は、何も知らない隣人を装って。
奏は何も話さなかった。
当たり前だ。
彼女に気づかれないよう、接触しないようにしていた隣人なのだから。
奏は、死体を隠した。
そのうち、腐臭がするようになった。
なんとなく、奏が哀れで、衛には黙っていた。
「それから――」
八代はそこで、言葉を止める。
「それから?」
と彼女は残酷なまでにあっさりと訊いてきた。
「死体を始末してやった」
「……でしょうね。
衛さんもそれを疑って、貴方に連絡をとってきたんじゃないですか?
なんて答えたんです?」
「何も知らないと言った」
その辺から既に問題だ、と眉をハの字にしていた。
「奏には不審に思われたんじゃないですか?」
「いや」
「なんでです?」
と窺うように彼女はこちらを見ている。
すべてを話すべきなのか。
と最初は、何も知らない隣人を装って。
奏は何も話さなかった。
当たり前だ。
彼女に気づかれないよう、接触しないようにしていた隣人なのだから。
奏は、死体を隠した。
そのうち、腐臭がするようになった。
なんとなく、奏が哀れで、衛には黙っていた。
「それから――」
八代はそこで、言葉を止める。
「それから?」
と彼女は残酷なまでにあっさりと訊いてきた。
「死体を始末してやった」
「……でしょうね。
衛さんもそれを疑って、貴方に連絡をとってきたんじゃないですか?
なんて答えたんです?」
「何も知らないと言った」
その辺から既に問題だ、と眉をハの字にしていた。
「奏には不審に思われたんじゃないですか?」
「いや」
「なんでです?」
と窺うように彼女はこちらを見ている。
すべてを話すべきなのか。