憑代の柩
「不自然でない程度に彼女に接触するようにして。

 それから」

 またそこで言葉が止まってしまう。

 自分が自分を尋問するのなら、もう既に死ぬ程怪しいと思っているところだ。

 言葉を選びながら言った。

「報酬を受け取ったんだ。
 その代わりに死体を始末した」

「報酬?

 ああ、ただで死体を始末してやるのも変だからですか?」

 いや、逆だ、と思う。

 あの時点まで自分は迷っていた。

 死体を片付けてやるかどうか。




< 288 / 383 >

この作品をシェア

pagetop