憑代の柩
 


 ベッドの上に座り、目の前に立つ、そっくりな奏の手を掴む。

 同じ細さがあったが、その反応はまるで違っていた。

 別人なのだから当たり前だ。

 同じ顔でも。

 いや――

 他にも、同じものがある。 

 奏は自分の方から肩に手を回し、身を屈めて、口づけてきた。

 離れながら、側に座り、

「貴方なら、少しは厭じゃないと思ったの」
と囁く。
 
「誰なら厭なんですか?」

 奏は無言で何処かを指差したが、もう見てはいなかった。




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