憑代の柩
自分の方が余程、弱っていたらしい。
廊下に出た途端、無防備に、ぎょっとした顔をしてしまう。
自分より少し小柄で、ぼさぼさとした茶髪の男がすぐ目の前に立っていた。
「……流行」
要と行ったのではなかったか、と思いながら、その横をすり抜けようとする。
「あまり此処らをうろちょろするな」
と言うと、彼は言った。
「『佐野あづさ』を見たよ」
「なに?」
この間の話かと思ったが、違うようだった。
「あのファミレスの近くで張ってたら、現れた。
佐野あづさ、というか、咲田馨の顔をした女に。
あれがホンモノの咲田馨なのか?」
「……いつだ?」
「早朝五時くらいかな。
あのファミレスの前を通って行った。
ちらとファミレスの方を見上げていたけど」
そうか、と行こうとすると、止められる。
「なあ。
お前、なんで、死体を始末してやったんだ」
その言葉に息を止める。
何故、流行がそれを知っているのかと思ったのだ。
廊下に出た途端、無防備に、ぎょっとした顔をしてしまう。
自分より少し小柄で、ぼさぼさとした茶髪の男がすぐ目の前に立っていた。
「……流行」
要と行ったのではなかったか、と思いながら、その横をすり抜けようとする。
「あまり此処らをうろちょろするな」
と言うと、彼は言った。
「『佐野あづさ』を見たよ」
「なに?」
この間の話かと思ったが、違うようだった。
「あのファミレスの近くで張ってたら、現れた。
佐野あづさ、というか、咲田馨の顔をした女に。
あれがホンモノの咲田馨なのか?」
「……いつだ?」
「早朝五時くらいかな。
あのファミレスの前を通って行った。
ちらとファミレスの方を見上げていたけど」
そうか、と行こうとすると、止められる。
「なあ。
お前、なんで、死体を始末してやったんだ」
その言葉に息を止める。
何故、流行がそれを知っているのかと思ったのだ。