憑代の柩
 自分の気が弱くなっているからそう感じるのかもしれないが。

「死体を始末する理由を作るためだと思おうとしたけど。

 たぶん、そうじゃなかったな」
と苦笑する。

 目立つというのに、流行はついてきた。

「なんでまた。
 彼女が好きだったのか?」

「いや――」

 じゃあ、なんで、と流行は言いたいようだった。

 彼女が好きだったんじゃない。

 似ていたからだ。

 似せていたのだから、当たり前だが。
 


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