憑代の柩
 



「どうですか? 奇麗です?」

 白いドレスのまま、くるりと廻ってみせると、

「自分で言う奴があるか」
と衛は吐き捨てる。

 衛と待ち合わせて、ドレスを選びに来ていた。

 可愛いものは揃っているが、特に立派でもないドレス専門のショップだ。

 衛は反対したが、私の好みだ。

 ゴージャスなドレスは私の顔には似合わない。

 店員に出された緑の丸椅子に腰掛けた衛は、少し離れた位置からこちらを見ていた。

 さして、興味もなさそうなことを言ってはいるのだが、なかなか注文がうるさい。

「そんなにない胸を見せてどうする」

「……死ぬ程余計なお世話なんですけど」

 どうも露出が少ない方がいいらしく、気を抜いていると、ムシムシとくそ暑いのに、長袖を着せようとする。
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