憑代の柩
 そのとき、誰かがこちらを見ている気配を感じた。

 奏ではないような気がして、振り向く。

 だが、薄く開いた扉の陰には誰も居なかった。

 ただ、夕陽に照らされたコンクリートの匂いだけがしていた。





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