憑代の柩

 



『そう。
 今は他所に養女に入ってらっしゃるの?

 いいんじゃないの?

 あの売女の妹だと世間に知られなくて』

 ホールに響く甲高い笑い声。

 客に向かって、階段の途中から、決して降りずに上から見下してしゃべる。

 衛がやらなれば、自分がやっていた――

 あの女を階段から引き摺り下ろし、自分がやっていた。
 
 
 
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