憑代の柩
「私は衛とは行かないわ。
 さよなら、要」

 頭の上から身を乗り出し、口づけてくる。

 彼女の方からしてきたのは初めてのような気がした。

 目を開ける前に、彼女は出て行き、福田の姿も無くなっていた。

 すべて夢だった気がするが、ドアは開いたままだった。
 


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