憑代の柩
「……ありがとうございます」
と微笑み、大事に畳む。

 麻紀が恥ずかしげに目を逸らせた。

「じゃ、これ、私の連絡先です」

「なにこれ?」
と麻紀は目をしばたたいている。

「うちの先生の名刺です」

「あんた、ほんとに探偵だったの?」

 助手だ、と八代が居たら言うところだろう。

 だが、居ないので、
「はい」
と答えた。

「誰かの素行調査でもしたいときにはぜひ」

「あんたも潜入捜査とかすんの?
 今もこれそうなの?」

「いや~、こういうのはあまり。
 せいぜい、ファミレスとかですかね」

「花屋は?」
と訊かれ、

「いや~、花が作れないので」
と笑って見せた。




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