憑代の柩
たまに手が触れるが、彼はよく硬く腕を組んでいる。
他人に対して、構えており、自分を守りたい人間の仕草だと思った。
反対側で低く嗤う声が聞こえてきた。
自分が寝ているベッドを挟んで衛とは反対側。
衛の従兄にして、医師の要(かなめ)がそこに居るはずだった。
要という名が、名字なのか名前なのか、わからない。
彼自身がそう名乗ったわけではないからだ。
衛がそう呼んでいるので、それが彼の名なのだろうと思うだけだ。
時折、此処に来る部外者は、看護師くらいのものだし。
彼女たちは彼を、先生としか呼ばないから。
「とってもいいか?」
要が衛に確認する声が聞こえた。
やがて、顔を覆っていた包帯が解かれる。
視界はしばらくぼやけていた。
自分が寝ている病室のベッドの両脇に二人の男が立っている。
右手の、腕を組み、こちらを見下ろしている男が衛だろう。
つい、その顔を見つめていると、
「なんだ?」
と今まで以上に高圧的な声で訊かれた。
他人に対して、構えており、自分を守りたい人間の仕草だと思った。
反対側で低く嗤う声が聞こえてきた。
自分が寝ているベッドを挟んで衛とは反対側。
衛の従兄にして、医師の要(かなめ)がそこに居るはずだった。
要という名が、名字なのか名前なのか、わからない。
彼自身がそう名乗ったわけではないからだ。
衛がそう呼んでいるので、それが彼の名なのだろうと思うだけだ。
時折、此処に来る部外者は、看護師くらいのものだし。
彼女たちは彼を、先生としか呼ばないから。
「とってもいいか?」
要が衛に確認する声が聞こえた。
やがて、顔を覆っていた包帯が解かれる。
視界はしばらくぼやけていた。
自分が寝ている病室のベッドの両脇に二人の男が立っている。
右手の、腕を組み、こちらを見下ろしている男が衛だろう。
つい、その顔を見つめていると、
「なんだ?」
と今まで以上に高圧的な声で訊かれた。