憑代の柩
流行は運ばれて来た珈琲を見つめ、
「僕は個人的に、消えた仲間を捜してるんです」
と言い出した。
「仲間?」
「一緒に事務所をやってた男です。
そいつは、佐野あづさという女性について調べていました」
私は小首を傾げるようにして問う。
「御剣の親族の依頼?」
「誰からかは、僕にもわからないんですけどね。
僕ら別々に仕事を受け持つことが多いので。
それぞれの顧客も別ですし。
まあ、同じ軒下に居て、たまに協力し合うくらいの関係なんです」
ふうん、と紅茶に口をつけながら相槌を打つ。
「でも、今の、おかしな言い回しですね」
「え?」
「私に向かって、
『佐野あづさという女性について』
って言い方は妙だと感じましたが」
「そうですね」
一瞬、下を向いた流行は、覚悟を決めたように顔を上げ、こちらを見た。
「僕は個人的に、消えた仲間を捜してるんです」
と言い出した。
「仲間?」
「一緒に事務所をやってた男です。
そいつは、佐野あづさという女性について調べていました」
私は小首を傾げるようにして問う。
「御剣の親族の依頼?」
「誰からかは、僕にもわからないんですけどね。
僕ら別々に仕事を受け持つことが多いので。
それぞれの顧客も別ですし。
まあ、同じ軒下に居て、たまに協力し合うくらいの関係なんです」
ふうん、と紅茶に口をつけながら相槌を打つ。
「でも、今の、おかしな言い回しですね」
「え?」
「私に向かって、
『佐野あづさという女性について』
って言い方は妙だと感じましたが」
「そうですね」
一瞬、下を向いた流行は、覚悟を決めたように顔を上げ、こちらを見た。