嘘の恋愛進行中【完】
ギュッ
「うっ…」
「よし!出来た!」
最後に帯をきつく締められた
パンパンと腰あたりを叩いて
「よし!行こっか」
と巾着を手にとって、玄関へ向かう
そのあとを急いで追いかける
「亜樹はこれ履いてね」
玄関で真結に渡されたのは、下駄
花輪の部分がピンクで
小さなお花がたくさん、散りばめられている
可愛い下駄だった
「私がこれ履いていいの?」
「うん!
私はこっち」
真結が取り出したのは
私と色違いの、赤が基調の下駄
ならいっか!
真結の言葉に甘えておこう
「ほら!約束の時間まであと少ししかないよ!
下駄なんだから、あんまり走れないし。」
ドアを開けて外に出る
「待ち合わせの場所は駅前だから。
多分人がたくさんいると思うけど…」
そのあと、何かを言いかけていた真結だったけど
言うのをやめて
「行こ」
とだけ言って家を出た