Hell・God
ノアの過去(回想)
ノ「今日もみんなが元気で、暮らせますように」パンパンッ
ノ「ふ~…もう夕方だし、帰りますか」
私は、神社の石段を降りた。
ここの神社には3年間お世話になっている。
最初に願い事をしに来たのは、受験の前日。
受験に受かりますように、と願い、その願いはしっかりと叶った。
「のあちゃん!」
ノ「あっ、茜ちゃん、久しぶりです!」
茜「今日もお詣りに来てたんだね!一緒に帰ろ!」
ノ「はい!」
ノ「茜ちゃん、こんなところでなにしてたんですか?」
茜「公園で遊んできたの!その帰りだよ」
ノ「ふふっ、そっか…」
茜ちゃん――近所の女の子で、毎日のように帰り道で会う。
笑顔を絶やさない、明るい子だ。
茜「あ、けんじだ!」
け「あかねーっ、こっち来いよー!」
茜「今行くー!」ダッ
ノ「!、ダメ!」
茜ちゃんは、赤信号の中に飛び出した。
私の足は自然と前へ進んでいた。
トラックが向かって来ているのに。
その時は恐怖なんて感じなかった。
茜ちゃんを守ろうと、必死だった。
ノ「茜ちゃ――」
キィィーーーーッ!!!
最後に聞こえたのは、トラックの急ブレーキの音と――
茜ちゃんの、悲鳴。