俺様上司と身代わり恋愛!?
「私の事より、ゆずはないの? ダメンズと別れた後の恋愛話。まともな人ちゃんと見つけた?」
ピザをもぐもぐと食べながら、美絵にそう聞かれて。
「それがね、実は……」と、待ってましたと言わんばかりに、先週金曜日、課長をうんざりさせた志田さんとの事を美絵に聞かせたのだった。
翌日火曜日は、昨日美絵にご馳走してもらった大量のイタリアンのおかげで胃がもたれていた。
昨日の夜も一応と胃薬を飲んだけれど、朝もまだ消化されていない重たさを感じたからもう一袋飲んだのに。
お昼を過ぎてもまだ違和感があるのだから、昨日は相当食べ過ぎたのだろう。
美絵が頼んでくれた料理は、大盛りのクリームパスタにサラダ、ピザ、ホタテのカルパッチョ、カボチャのニョッキ。
それにデザートピザに、ケーキとジェラードの盛り合わせ。
炭水化物が三品ある時点でもうおかしかった気がする。
おかげで、今日のお昼はゼリータイプの栄養補助食品と胃薬で済ます事となった。
普段食べ慣れていないモノを食べたせいで胃が驚きすぎたのかもしれない。
味はと言えば、本当にどれも感動するくらいにおいしかったけど……ただ量がいけなかった。
未だに重たい胃をさすりながら、午後の仕事をこなし、時計が16時を過ぎた頃。一本の電話が鳴った。
表示板を見ると、外線の文字が光っている。お客様からの電話だ。
電話は手が空いていれば誰が出てもいいのだけど、電話対応は一番多い仕事のひとつでもあるから、早く慣れるようにと新入職員に率先してとらせている。
だから2コールまで電話をとらずに様子を見るのがその他の職員の暗黙のルールだった。