俺様上司と身代わり恋愛!?
大澤さんは気性のとても激しい女性だ。
機嫌の悪い時、営業フロアでうっかり鉢合わせたりすると、何もしてないのに睨みつけられたりなんて当たり前にあるし……ここだけの話、情緒不安定なんじゃないかなと思ってる。
まぁ、そんな人だし、八つ当たりってわけではないのだろうけど、たまにこういった面倒な事を言ってくる事もあったりするから、ああ例のアレですかとすぐに納得できた。
「手伝いますよ。日付は?」
「2014年11月21日、12月13日、12月18日。通帳見るとその日に出金されてる」
「分かりました」
段ボールを挟むようにしてしゃがみ、中から言われた日付を探す。
段ボールには2014年10月~2015年1月と表記はしてあるものの、中はごちゃごちゃで目当ての製本はなかなか見つからない。
数冊ずつ手に取って調べていると、同じようにして調べながら課長が「今野、結局謝らなかったな」と言う。
突然の言葉に顔を上げると、課長は視線を段ボールの中に向けたまま続ける。
「〝茅野先輩〟って言うのが今野なりの精一杯なのかもな」
「……そうですね」
「あれだけ咬みつかれてたけど、おまえはもういいのか?」
「もう忘れちゃいました」と笑みを浮かべると、課長は「おまえは……」と呆れたように笑う。
続く言葉はきっと、お人よしすぎるだとか甘すぎるだとか、言うべき事はきちんと言うべきだとか。
そういう類のモノだったのだろうけれど、課長は、まったく……といった風に呆れ笑うだけでそれ以上言おうとはしなかった。