俺様上司と身代わり恋愛!?
その柔らかい表情を目の前に見て……なんでだか、ほわぁっとこみあげてくる何かを感じ戸惑う。
感謝の気持ち……とはまた少し違う気もするけれど、それに似た温かいモノが込み上げてきて胸がギュッと締め付けられる。
それをなんだろう、と思い、少しの居心地の悪さに顔をしかめていると「茅野?」と呼ばれ顔を上げた。
見れば、段ボールの向こう、それなりに近い距離に不思議そうにこちらを見る課長がいて。
バチッとぶつかった視線に動揺し、目を泳がせてから立ち上がった。
「日付ごちゃごちゃになってるみたいですし、私向こう側探しますね」
誤魔化したような形になってしまったけれど、段ボールの中がごちゃごちゃなのは本当だ。
〝2014年10月~〟となっているのに、私がさっき手に持ったのは2014年7月のモノだった。
どの段ボールに入っているか分からないのなら、手分けして探した方が効率もいい。
そう思い言うと、課長も同じ意見だったようで、手元の製本に視線を落としながら「ああ、頼む」と返事をした。
今までいた場所は、倉庫の一番奥だったから、奥から二列目の通路に入り、伝票の入った段ボールをひとつ床に下ろす。
段ボールの前にしゃがみ込むと、ひとつの棚を挟むようにして向かいにいる課長の頭が隙間から見えた。
サラサラとした黒髪が揺れている。