俺様上司と身代わり恋愛!?
「久しぶりに飯でもどうかと思って」
「え……ごめんね。約束あるから」
付き合っている間三ヶ月も音信不通でいながら、今更話しかけてくるなんてどういうつもりだろうだとか、そんな風には思わないけれど。
純粋に、なんで今頃?という思いはあった。
元々友達だったとかならまだ話も分かるけど、伸介と初めて話したのは告白された時だ。
なんで、伸介が私に目をつけたのかは分からないけれど、もしかすると、私が出すダメンズを惹きつける雰囲気のせいだったのだろうかとぼんやりと思った。
チョロそうだなって思われたのかなって。
まぁ、今更そんなのはどうでもいいけれど。
付き合っている間は終始伸介に合わせていたから、こんな風に誘われて断った事なんてほとんどない。
だから断られた事が意外だったのか、伸介は弾かれたような顔をして驚いてから、またヘラヘラと笑い出す。
「いいじゃん。せっかく待っててやったんだし俺の方優先してよ」
「……悪いけど」
いつも、こんな風に頼まれると伸介の方を優先していたけれど。
それは、伸介が私を好きだって言ってくれてたからだ。
いくら私でも、一度別れた相手にそこまで合わせたりはしない。
さよならのメールを送るまでの、音信不通の三か月間。
私だって考える事はあった。告白されて始まった関係だったけれど、その中ではそれなりに好きって気持ちだってあったし、それを裏切られたみたいで悲しくもあった。
それなのに、さよならのメールにさえ返信しなかった伸介に合わせようなんて気持ちは、さすがの私でも生まれるハズがなかった。