俺様上司と身代わり恋愛!?
「おまえ、なんか変わったな。メールも返さないし」
顔をしかめてはーっとため息をついた伸介が、まるで私を責めるように見るから「だって、ただ暇だったから送ったとかそんなんでしょ?」と返すと、「はは、バレてる」とちっとも悪びれない感じで笑われる。
「実はさ、付き合ってたヤツがいたんだけど、半月前に別れたんだ。で、そういやゆずどうしたかなって思い出して」
なんだか散々な感じだなと自分自身に苦笑いが浮かびそうになる。
きっと、〝付き合ってたヤツ〟っていうのは、私と付き合っている間にいた浮気相手なんだろう。
そしてその相手と別れたから、そういえばって思い出した私に連絡とか……。
ひどい扱いだな、もしかしたら浮気相手って私の方だったのかもな、と思いながら「そう」とだけ冷たく答えた。
今更ショックを受けたりはしないけれど、話していてあまりいい気持ちのするもんじゃない。
だから「もう行かなきゃだから」と告げると、伸介は「あ、待てって」と腕を掴むから、咄嗟に振り払った。
「私はもう用もないし、メールしたり話しかけてきたりしないで」
驚きを浮かべる瞳にそれだけ言って背中を向ける。
追いかけてこられても困るから、美絵との待ち合わせ場所まで走って向かった。
掴まれた腕が、気持ち悪かった。