俺様上司と身代わり恋愛!?
そういう話を一通りしてから、美絵のここ二週間のオタク活動も聞いたりして。
なんか、コミケとか年に一度程度の頻度で開かれてるだけかと思ってたら、一年中通して毎月のように名前や場所を変えてそういう催しが行われているらしく。
先週は大阪まで行ってきたーなんて笑う美絵には、すごいって感想以外でなかったけれど。
先週の大阪は特に楽しかったらしく、生き生きとした表情で戦利品の薄い本を十数冊見せてくれた。
そういった催しの後には、普段から趣味でネット上で繋がっている人たちでオフ会なんてものが開かれるらしい。
それも満喫できたようで本当に楽しかったんだなぁというのが伝わってくるような表情で美絵は話していて、最後に「今度一緒に行こうね」と誘われたけれど、そこは丁重にお断りした。
多分……私が行っても同じように楽しめない。
そんな、お互いの近況報告がひとしきり終わった頃、鞄の中のスマホがメールを受信した。
ごめんね、と謝りながら取り出し確認すると……送信者は尾関伸介で。
顔をしかめていると、美絵が「どうしたの?」と聞くから、さっきあった事を説明する。
「元彼なんだけど、今日、なんか待ち伏せされてて。ご飯行こうって言われて」
「元彼って、同じ会社の? あの、三ヶ月音信不通だった人?」
「そう。二週間前くらいから、内容のないメールが届くなぁとは思ってたんだけど、どうも彼女と別れて暇になったから私に連絡し始めたみたいで。
今のメールも〝暇な日連絡して〟って。あれだけ音信不通だったのにね」
ははって呆れて笑いながらスマホを鞄にしまうと、美絵が眉をしかめる。