俺様上司と身代わり恋愛!?
「考えてみたらさ、俺おまえのことまだ好きだし。つーか、別に嫌いになったわけでもなかったんだよな」
「それは……他に、私よりも好きな人ができたからで――」
「おまえだって、俺がまだ好きだろ?」
遮るように言われ、驚く。
私がとってきた態度のせいだとしても、なんでこんな自信を持って言えるんだろうと呆れながら「悪いけど」と口にした。
「もう、好きじゃない」
『早乙女さんからメールで、腕を掴まれたって事も、連絡するなって言ったのにも関わらず直後にメールして誘ってきた事も聞いてる。
おまえは断ったつもりでも、尾関にはそれが伝わってないからメールが何度もくるんだろ』
課長に言われた言葉が頭をよぎっていた。
きちんと断ったつもりでも、伝わっていないからこうなるんだってことなら。
ハッキリ気持ちを伝えないとダメだ。
逃げるな、と自分を奮い立たせる。
「好きじゃないし、この先、好きになることもない。こんな風に待ち伏せされても迷惑だとしか思えない。だから……もう、関わってこないで」
流されたとは言え、一時は好きだった人だ。
だから、こんな風に拒絶するのは心が痛んだけれど……必死に言い切った。
……のに。
私の真面目な顔と言葉を、伸介は笑って交わす。
「わかったわかった。放っておいたのは悪かったって。拗ねるなよ」
「ちょっと……離してっ」
急に抱き締められ、驚いて抵抗する。
ぐいっと胸を押したけれど、伸介はそんなのお構いなしに私の髪に鼻を寄せた。
「はー。このふわふわの猫っ毛懐かしー。……あれ。シャンプー変えた? 匂いが前と違くね?」
「関係ないでしょ! それより離して……っ」