俺様上司と身代わり恋愛!?
やたらと〝クリーンな印象を!〟とうるさく言ってるなーとは思っていたけれど。
こうも社員にすりよっているところを見ると、世間から見たイメージを上げたいんだろうなぁと思う。
それにはまず社員からっていう考えなんだろう。
一昨年までは入っていた、就職希望企業ランキングから去年外れたことを相当悩んでいるのかもしれない。
そんなことをぼんやりと考えていると、日記を読んだ課長はそこに印鑑を押し、私に返す。
「デスクの施錠が済んだら、鍵渡せ。俺もすぐ出れるから」
「あ、はい」
日記を引き出しにしまい、鍵を渡すと、課長はその鍵を引き出しにしまい、そこを施錠する。
それから、無意味だとしか思えないゲートもしっかりと施錠し、歩き出した。
「みんな、ちゃんと帰ってますね」
他の課の前を通っても、ほとんどのデスクに人影はない。
シン……としたフロアを見ながら言うと、課長が「上が必死だからな」と言う。
「社のイメージあげるためにって、残業させるなとか、パワハラするなとか、俺もうるさく言われてるし」
やれやれといった風に言う課長の横顔を見上げて「それは……お疲れ様です」と笑ったところで……ふたりの足がピタリと止まった。
エレベーターホールについたからだ。
そして、厳しい眼差しでエレベーターの扉を見ながら話す。
「点検は、今日の十五時まで……でしたよね」
「ああ。だから大丈夫だ」
他のひとは、みんなこれに乗って帰っていったわけだし、問題はない。
それでも、今朝のことがあるだけに一応確認してからエレベーター内に乗り込む。
そして、〝お知らせ〟の貼り紙がなくなっているのを確認してから、ほっと息をついた。
ウィーン……という機械音を響かせるエレベーター。
背中を壁に預けながら課長が言う。