俺様上司と身代わり恋愛!?
うしろで、課長が出入口のドアをバタンと閉める。
その音を聞いて、〝お疲れ様でした〟というために振り向くと、すぐに課長と目が合った。
バチッとぶつかった視線に、課長はなんだかバツが悪そうに目を伏せるから、それを不思議に思っていると……。
再び目を合わせた課長が「おまえ、今日このあとの予定は?」と聞いた。
「えっと、月曜日なので本屋さんに寄って週刊誌を立ち読みしてから……」
「暇ってことだな」
遮られた言葉に、なにも言い返せずに黙っていると、スタスタと歩き出しながら課長が言う。
「今日、車だから、おまえも乗ってけ。飯くらいおごってやるから」
ポケットから、チャリッと鍵を取り出しながら言った課長の髪を、夜風が揺らす。
サラサラと流れる黒髪。揺れる、スーツの裾。広い背中。
その後ろ姿を見て、ああ、今までとは関係が形を変えたんだなぁと実感してしまい……。
嬉しさを噛みしめていたせいで「はい」と返事をするのが遅れてしまった。