俺様上司と身代わり恋愛!?
「真面目なんですね。遊びまわってたくせに」
課長は、自嘲するような笑みをこぼして「本当にな」と言う。
「今までそんなこと謝ってくれた元彼、いませんでした」
「おまえの付き合ってきたダメ男たちと比べるな」
速攻で返ってきた言葉に笑っていると、そのうちに真面目な顔に戻った課長が静かに言う。
「でも俺自身、誰かとちゃんと付き合ったこともないし、そういうのが面倒でフラフラしてたから、もしかすると釣った魚にエサはやらねぇタイプかもとも思ってる。だから、おまえの元彼たちをいつまで見下していられるかわからない」
「ああ、大丈夫です。私、そういうの慣れて――」
「でも、おまえにそういう扱い〝慣れてるから〟って言わせたくはないって程度には、大事にしてやりたいと思ってる」
かぶさるように言われた言葉に、思わず声を失ってしまった。
課長が、真面目な声で……真剣な眼差しで言ってきたりするから、うっかり胸を打ち抜かれてしまって。
戸惑いなにも言えずにいる私の手を握った課長が続ける。
「裏切られんのも、適当に扱われるのも、傷つけられるのも、おまえは本当に慣れてるのかもしれない。でも、おまえがそれを慣れてるからって平気な顔して笑って我慢するのを、俺は見たくない。ずっと、そう思ってきた」
ギュッと握られた手。
「大事にするから」
課長がくれる言葉が嬉しくて、想いが溢れる。
それが、涙としてこぼれ落ちそうになったとき。
「先週のこと、やり直させてくれ。ちゃんと抱かせてほしい」
そう告げられ……唇が重なった。