俺様上司と身代わり恋愛!?
連れてこられた寝室。何度もキスしながらゆっくりと押し倒されて、ブラウスのボタンをひとつひとつ外される。
課長の行為は本当にゆっくりと進められるから、次第に恥ずかしくなってしまい、下着のホックを外されたところでついに音を上げた。
「あの、課長……っ」
「……ん?」と返される声までもが優しいから、顔が熱くなってどうしていいかわからなくなる。
今すぐ逃げ出したい。
だって……こんな風に抱かれたこと、今までない。
明かりは消されているけれど、目が慣れたから、課長の表情くらいは見える。
私のなかの気持ち、全部をわかろうと探る瞳に見つめられ、もごもごしながら口を開く。
「こんな丁寧にされると、恥ずかしいので……もっとちゃちゃっと進めてくれても、私は全然大丈夫なので……」
見ていられなくなって、目を伏せて続ける。
「課長はさっき、罪滅ぼしとか、やり直しとか言いましたけど……この間だって、別に適当とかじゃ全然なかったですし。ちゃんと……すごく、丁寧でした」
そのときのことを思い出し、恥ずかしくなりながら言う。
課長が私に触れた手はとても優しかったし、嫌だなんて気持ちは微塵も抱かなかった。
だから言うと、課長はしばらく黙ってから、私の顔を上げさせ何度目かわからないキスをする。
「いいから、とりあえず俺の好きにやらせろ」
「ん……っ」
入り込んできた舌が、やっぱり優しく丁寧に咥内を撫でる。
下着を外された胸をおおう手に、抱き締めるように背中に回された腕。
その全部に大事にされているっていうのが感じ取れて、目尻に涙がたまり始める。
「あ……っ、あ、課長……っ」
長い指で弱い部分を執拗に撫でられ、その手を掴むのに止めてはもらえなくて、ボロボロとこぼれる涙を舌先ですくわれる。
「気持ちいい?」と耳元でささやかれる低い声は、会社での課長と本当に同一人物が出しているのかって不思議になるほど甘く、ぞくぞくとした感覚が背中を走り抜けた。
私がしてきた恋愛が、軽いものだったなんて思わない。
結果的に裏切られたり、適当に扱われることが多かったかもしれないけど、相手の気持ちが真剣じゃなかったとか、そんなふうにも思わない。
それでも。
大事にされてるって実感させてくれる行為が、こんなに嬉しいものだなんて初めて知った。
溢れる幸せに、どうにかなりそうだった。