俺様上司と身代わり恋愛!?
課長と付き合い始めて、半月が経ったころ、課長は笹川専務にお見合い結果の報告をした。
そして、同時に、美絵もお父さんに。
〝何度か会って親睦を深めてみたけれど、性格的に合わない部分があり、そこを埋められそうもない。友人としてならこれからも付き合っていけるけど、結婚相手として関係を続けていくには違和感があり、今回のお見合いはふたりで話し合い、破談となった〟
笹川専務も美絵のお父さんも、ふたりが数回会っていることは知っていたし、きちんと一緒の時間を過ごし判断されたことなら仕方ない……ということで、納得してくれたらしい。
その報告を、課長から、そして遅れて美絵からされて、ホッと胸を撫で下ろした。
替え玉お見合いもバレていなかったみたいだし。そこは本当によかった。
万が一バレたりしたら、美絵のお父さんに怒られるだけならまだしも……会社側からは、下手したら何かしら処分があったかもしれないし。
「お待たせしました」
声をかけてから椅子を引くと、座っていた課長が顔を上げる。
四人掛けの丸いテーブル。
課長の右隣に腰を下ろす。
今日は、高級和食店でのデートを抜かせば、付き合い始めてから初めての外でのデートだった。
言い出したのは課長で、待ち合わせ場所は、会社からそう遠くないカフェ。
先週、課長の部屋で会っていた時に今日の話をされ、この場所で、と言われたときには驚いたしもっと遠くのほうが……と提案もしたけれど。
課長は〝ここでいい〟と意見を譲らなかった。