俺様上司と身代わり恋愛!?


それを聞いたとき、課長が言った答えがこうだ。

『もう見合い話持ってこられても面倒くせぇし、社内恋愛も禁止されてないんだから、わざわざ隠さなくてもいいだろ。関係が広まったら広まったで、そん時だ。悪いことしてるわけでもないし、堂々としてればいい』

『なにかあるとすれば異動させられるくらいだけど、おまえも俺も、もう預金課に配属された年数的にいつ異動になってもおかしくない。だったら隠しておく意味もない』

社内恋愛が禁止じゃない以上、関係がバレたときマイナスになるのは、周りからの好奇な視線に晒されることくらいだ。
あとは、同じ課の場合、どちらかが異動になるだとか。

前者に対しては、私は学生の頃から結構色んな視線を向けられてきたから慣れているし、課長も特には気にならないってことだった。
そして後者は……課長の言う通りだ。

そのうち異動になるハズだと、課長とこういう関係になる前から意識していたし、覚悟済みだ。
だったら……あとは、課長さえいいのなら、私のほうは問題ない。

土曜日、十時。
会社の最寄駅からほど近いカフェ内は八割方席が埋まっているし、窓の外は通行人でにぎわっていた。

知っている顔がいつ通ってもおかしくない。

「このお店、会社帰りに高橋さんと寄ったりしたこともあるんですけど……そこに堂々と課長といるって、なんだか不思議な感じがします」

窓の外を眺めながら言う。
課長は、背もたれに寄りかかり足を組んだまま、私と同じように外に視線を移した。

「俺も何度か寄ったことあるけど、こうして休みの日に来るとか、たしかに変な感じかもな」


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