俺様上司と身代わり恋愛!?
「立場は当てはまらないですけど、パワハラですよ、もう。
私が打たれ弱い人間だったら、心が折れちゃって出社してないかもしれません」
「しかも、過去のプライベートな事をオフィス内で他のやつらもいるのに話してたしな」
「ああ……そういえば言ってましたね」
短大のころのことを言っていたな、と思いだし言うと、驚いた顔をされた。
「ああって……それを一番気にしてたんじゃないのか?」
「私が気にしてたのは、今野さんがその場限りの対応をする事です。
クレームがきてから対応すればいいっていうのが最初から頭にあるから、それはどうかなって事で」
クレームがきてからじゃ遅い。
誰かに問題提起される前に、直せるのなら直したほうが本人のためでもあるし、会社のためでもあるのに。
私から言っても聞かないなら、恩田さんに伝えてもらうしかないかもしれない。
そう考えていると、課長が納得いかなそうな声で言う。
見上げると、眉をひそめた課長が私を見ていた。
「まぁ、それはそれでマズイけど……でもおまえ、あんなプライベートの事べらべら話されて気になんないのか?
多分、預金課全員耳潜めてたけど」
「そこは別に……まぁ、自慢できるような話じゃないですけど、事実だし仕方ないかなって」
過去、そんなカッコ悪い恋愛してきたくせにって理由で注意を受け入れてもらえないのは困りものだし、人の過去を第三者にも聞こえるようにペラペラと話されるのも褒められないけど。
とりあえず、気になるのは今野さんの仕事への態度だ。
私への嫌悪があって、私からの注意には従わないって意地になってるのは正直困る。