俺様上司と身代わり恋愛!?
「俺に謝る必要はない。
おまえは何も悪くないんだから、胸張ってろ」
真っ直ぐに向けられる自信溢れる瞳に、何かを含んでいるようにも見える笑みが浮かぶ口元。
それに、今くれた、励ましにもとれる言葉。
それらはきっと、部下へのフォローのためなんだろうなと思って、ありがたく受け取ろうとしたところで「じゃないと、元々ない胸が小さく見える」と言われ……。
出かかっていたお礼の言葉が喉で詰まった。
「これでもFカップなんですよ」
「おまえ……そういう見え透いた嘘はこっちが悲しくなるからやめろ。
悪かったよ。胸の話題なんか出して」
「本当ですよ。今の会話完全にセクハラなので、次の食事は課長のおごりでお願いします」
にっこりと笑顔で言うと、課長は少し嫌そうな顔してから歩き出す。
「上限、ふたり分で4000円までだからな」
「ありがとうございます」
「次の約束は来週あたりでいいか? あんまり頻繁に会ってもおかしいかもしれないから、二週に一度くらいで……それを二ヶ月も続ければいいだろ」
「分かりました。ありがとうございます」
「飯おごるくらいでそう何度も礼言わなくても……」
呆れたような表情を浮かべる課長の言葉を「そうじゃなくて」と否定してから、課長を見上げた。
「さっきフォローしてくれたので、そのお礼です。
明日からも引き続き、コーチャーも恋も頑張ります」
びしっと背筋を伸ばして言った私を、課長は少し驚いた顔で見ていたけど。
そのうちにふっと笑みをこぼして「頑張れよ」って言って。
それから「今のところどっちもまだ可能性低いけどな」と少し意地悪く笑った。