俺様上司と身代わり恋愛!?


一応、恩田さんからも注意はしているし、聞いているとたまに自分の名前を言っている事もあるしな……と思いながら、伝票の精査をしながら考える。

私なんかよりよっぽどしっかりしている恩田さんの事だし、毎日課長に提出しているコーチャーノートにはきっとその旨書いてあるんだろう。

その上で、課長からはまだ注意していないのなら、私が口を挟む事ではない。
……それに、下手に挟んで大事にするのも嫌だから、もう挟もうとも思わないし。

少し無責任だろうかという疑問も浮かんだものの、でも仕方ないよね……と気持ちを割り切ろうとしていた時。

デスクを挟んだ先で、今野さんが慌てだした。

端末を見て焦っている様子に、恩田さんは……と視線で探してみたけれどどうやら席を外しているらしく、オフィス内には見当たらない。

となれば……席も近いし私が声をかけるべきだろうか……と何度か自分の中で確認してから「今野さん、大丈夫?」と声に出した。

新入社員相手にここまでびびってる先輩は、本当珍しいと思う。

今野さんは、私の顔を確認しわずかに眉を寄せながら説明する。
嫌々って感じではあったけれど、問題解決を優先させてくれてそこには少し安心した。

「今、田村さんっておばあさんから残高確認の電話があって……でも、古い顧客だからか、端末に電話番号が登録されていないんです」
「印鑑票は呼び出してみた?」

「あ、はい。でも、電話番号が空欄で……」
「じゃあ、実物の印鑑票抜いてきてくれる? もしかすると端末への登録が済んだ後に書きこまれているかもしれないし、ポストイットとかで張り付けてある場合もあるかもしれないから」

「はい」と少し大人しいトーンで返事をした今野さんが席を立って、書庫に向かう。
それを確認してから、さてどうしようと頭を悩ませた。


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