俺様上司と身代わり恋愛!?


すべての課が共同で使う食堂には、お弁当屋さんなんかが入っているわけではない。

広いスペースにテーブルや椅子が並んでいて、あとはお茶やコーヒーを入れる道具が揃っているだけだ。

だから、各々、持ってきたお弁当や、コンビニで買ってきたモノなんかを食べてたり、そのほかには食事に外に出る人もいる。
営業の人や、独身の男性社員なんかは外食派が多いように思う。

遅番の昼休みは通常12時半から13時半。
12時40分を過ぎたところで食堂に入ると、20席以上あるテーブルの2/3が埋まっていた。

適当なテーブルから椅子を引いて、はぁ、とため息が出たのは無意識だったのだけど。

それに気付いた高橋さんが、隣の椅子に座りながら「なんか、すみません……」と困り顔を浮かべた。

「え?」と、なんで高橋さんが謝るんだろうと不思議に思っていると、高橋さんがその理由を告げる。

「今野さんの態度、あんまりですよね」
「あー……どうだろうね」

今野さんと同期の高橋さんに、〝うん〟とは言いづらくて曖昧に笑うと、顔をしかめた高橋さんが続ける。

「だって、茅野先輩は間違った事なんてひとつも言ってないし、むしろ今野さんに気を使ってるのに、それをあんな風な態度と言葉で返すなんて……。
第一、茅野先輩に対して態度が悪すぎます」

「先輩なのに」と眉をしかめながら言う高橋さんに、「んー」と苦笑いを浮かべながら答える。

「でも私の事嫌いみたいだしね。合う合わないってあるから」
「だとしても、仕事では関係ないんじゃないでしょうか。
それに今野さんが先輩を嫌いな理由って恋愛とかそういう事っぽかったし、それって仕事には関係ないですよね?
茅野先輩は、そのせいで仕事をきちんとしていないだとかそういう事があるわけじゃないんですから」



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