俺様上司と身代わり恋愛!?
「私の付き合ってきた人たちが割と問題多めの人だったのは本当だし、私にも責任あるんだよ。
正直に言えば、だからって仕事には関係ないとは思うけど……でも、今野さんが私を嫌うのも分かるから仕方ないかな」
「でも……」
「それより、高橋さんは付き合ってる人とかいないの?」
ここで今野さんの悪口大会になんてなってしまったらマズイと思って話題を変える。
私はまだしも、高橋さんと今野さんは同期だし、ふたりの仲がこじれたりするのはこの先気まずいと思うから。
なんだか高橋さんはよほど今野さんにイライラしているのか、珍しく感情的になってしまってるし、この辺で終わりにしておいた方が賢明だ。
そう思い聞いた問いに、高橋さんは「いないんです……付き合ってみたいなぁとは思うんですけど」と、少し小さな声で答えた。
照れている様子に、本当初々しいなぁ可愛いなぁと思うと顔がニヤける。
「どんな人がタイプとかあるの?」
「あ、えっと……優しい人がいいなぁとかそれくらいですけど……」
「でもそれが一番だよね」
と、これも私が言えた事じゃないな、と言ってから思い、苦笑いを浮かべてサンドイッチを口に入れる。
私の付き合ってきた人たちは、優しいなぁと思う部分ももちろんあったけれど。
それを悪い意味でカバーしてしまう事柄がありすぎて、これといった優しさが他多数の、人が言う〝ひどい思い出〟に埋もれてしまってすぐに出てこない。
もしかしたら、私がそうだったらいいなぁと自分の中で勝手に優しさ変換しただけで、最初からそんな優しさなかったのかもしれない……なんて考えられるのは、少し冷静になった証拠だろうか。
まだ付き合いの渦中にいたら、きっといい部分だってあるハズだって探す事に必死で、そんな事さえ思えなかっただろうから。