俺様上司と身代わり恋愛!?
「少し怒ってはいたけど、まぁ新入社員のした事だし今回は見逃すって。サンウェルさん」
「あ、そうなんですね……。よかったです。今野さん、少し落ち込んでるみたいだったから」
「珍しく見るからに落ち込んでたから、俺も直接注意すんのはタイミングがよくない気がして恩田にだけ言っておいた。
まぁ、マズい事したってのは本人も分かってるだろうし、だったらわざわざ重々に注意する必要もないしな。
今野はおまえへの態度は悪いけど、仕事ができないわけではないし」
「そうですね。今日電話内容聞いてたら、きちんと折り返しの電話番号も聞けてましたし。ちゃんと身になっているみたいです。
……ところで課長って、いつもは煙草吸いませんよね?」
男性社員は割と喫煙者が多いから、フロアごとに喫煙所が設けられている。
そして、仕事中だろうがなんだろうが〝煙草休憩~〟と、一日に数回煙草を吸いに行っているのをよく目にするけれど、課長がそうしているのは見た事がない。
それでも課長が喫煙者だって知っていたのは、デスクの上に煙草の箱が置いてあるのを何度か見た事があるからだ。
その時も、今持っていた黒い箱だった気がする。
課長は煙を吐き出しながら答える。
「吸っても一日一本とか二本だからな。吸わない日もあるし」
「そんなに少なくてすむなら、いっそ禁煙しようとか思わないんですか?」
「まぁ、どっちでもって感じだけど、うちの会社は上にいけばいくほど喫煙者が増えるから。
付き合いとかで飲みに行った時に、自分も喫煙者の方が相手にも気を使わせないし色々対応が楽なんだよ」
「そうなんですか……」
なんとなく言っている意味が分かって頷く。