俺様上司と身代わり恋愛!?


「まぁ、俺が口出しする事でもないけど、おまえは何でも我慢して呑み込みすぎる。
今野の件にしたって、もっと強く出たっていい」

そう言った課長だったけれど。
言い終わるや否や、急に難しい顔をして「なんか俺矛盾してるな」と私を見て眉をしかめた。

「矛盾?」
「この間は、おまえのそういう部分を平和主義なだけだし悪くないって言っただろ」
「ああ、そういえばそうですね。確かに矛盾……」

この間、今野さんが私の八方美人な態度にイライラするのは仕方ないみたいな話をした時、課長は平和主義は悪い事じゃないって確かに私に言った。

それは多分、部下へのフォローなんだろうなっていうのは分かったけれど、それでも嬉しかったのは覚えてる。

励ましてくれてるってだけで嬉しかったし、そんな風に言ってくれたのだって課長が初めてだったから。

だったら、それと矛盾する事を言われた今は、嬉しくないのが正しいハズなのに……。
正反対の事を言われたにも関わらず、嫌な気がしないのはなんでだろう。

〝言い返さないでただ笑ってるな〟みたいな事は、今までだってたくさん言われてきたし、それこそ今野さんにだって言われた。

その時は、責められているような気になって、私が悪いんだってそういう気持ちでいっぱいになったのに……今は違っていて。

同じ意味の言葉なのに……とそれが不思議だった。

自分のした矛盾する発言に眉を寄せていた課長が「まぁ、いいか」と議題を取り下げたから、私も「そうですね」とだけ返すと課長が話題を変える。

「で? 志田とはちゃんと上手くやれてんのか?」




< 71 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop