俺様上司と身代わり恋愛!?
「当たり前だろ。外見も悪くないしいい大学だって出てるし、仕事もできるってなれば放っておいても女が寄ってくる。
見れば分かるだろ」
「……まぁ、少しは」
こういうナルシストな一面を見せつけられるのはまだ慣れていないため、そこにも若干のええー……という思いを感じながら頷く。
でもまぁ、言っている事はよく分かる。
課長はハイスペックだし、考えてみれば社内でも人気だし。
社内人気ナンバーワンの人となんて、課が同じでなければこうして話す事なんてなかっただろうなぁ。
「それより、次会うのは日曜だからな。忘れるなよ。
明日の夜に電話かけてこい。時間決めるから」
「あ、はい。了解です」
「それとこれ」
チョップを受けた頭をさすっていると、課長がさっき胸ポケットから取り出した封筒を差し出す。
何かと思って受け取ると「アクション映画のチケット」と開ける前に言われた。
開けて見ると、確かにそれは最近公開されたばかりのアクション映画のチケットで……驚いて見上げると、「もらいもんだけど」と言われる。
「専務だか常務だかがもらったらしいけど、回り回って俺んとこまできたからやる。
たまたま懸賞にでも当たったとか嘘ついて志田でも誘ってみろ。彼女がいれば断るだろ」
「え……っいいんですか?!」
しかもそんないいアドバイスつきで……とチケットを見つめながら言うと、呆れたため息を落とされた。
「俺ももらったもんだし、アクション映画は音がうるさくて好きじゃないから」
「ありがとうございます!」
私が満面の笑みで、しかも大声でお礼を言ったからか。
課長は「おおげさ……」と驚いた顔で言った後、おかしそうに笑った。