俺様上司と身代わり恋愛!?
うわぁ……と、ガックリと肩を落としながらエレベーターに乗り、手の中に残ったチケットをどうしようかと考えながら一階に下りた時。
なんと、忘れ物をしたという志田さんとバッタリ出くわすという、ラッキーハプニングが発生。
突然降ってきた幸運にかなり挙動不審になりながら、チケットをたまたまもらったからよかったら一緒にどうですか、と開口一番に言うと、志田さんは驚いた顔をした後〝いいの?〟と笑顔を向けた。
そんな志田さんに〝でももし彼女とかいるなら、チケット二枚しかないので私じゃなくて彼女と行ってください〟と、それもモゴモゴとなりながら言うと。
志田さんは〝彼女いないんだ〟と情けなさそうに微笑んで。
〝だから一緒に行こう〟と、確かに言った。確かに。
そんな大事件があって、しかもそれを話せるのは課長しかないのだから、電話をかけるなり〝聞いてくださいっ〟となってしまうのも仕方ない。
仕方はないけれど……全面的に私が悪い。
「すみません……。でも嬉しくてつい」
家に帰り、途中のコンビニで買った夕飯を食べた後、20時を過ぎているのを確認してからかけた電話に、課長は3コール目で出た。
一応、〝聞いてくださいっ〟って言った後、〝あっ、今、大丈夫ですか? 家ですか?〟と聞いたら、〝そうだ〟という返事が帰ってきたから、今日はそこまで残業せずに帰れたらしかった。
ソファーに座りながら謝ると、課長は電話の向こうではぁーとわざとらしく大きなため息をついた。