俺様上司と身代わり恋愛!?
『まぁ、来週の土曜だっけ? それは頑張れよとは思うけど。とりあえず今は日曜の事だろ』
「はい……。えっと、何がいいですか?」
『おまえと志田の事があんなにすぐ噂になったとこ見ると、少し離れたところで会った方がいいだろ。
俺と会ってるとこなんて見られたら、今度こそ二股だって騒がれるだろうし』
「そうですね……。じゃあ、どこだろ。横浜……とか?」
そこまで遠出でもなく、かといって会社のエリア内でもない……と考えて、有名なところで横浜の地名を出すと、課長が『いいかもな』と言うから、じゃあ、ともう少し詳しく提案してみる。
「お昼からなら、中華街でご飯食べた後、山下公園で散歩コースとか……。山下公園まで行けば確かシーバスとかいうバスが出てるから、そこから動けるし」
『へー。おまえやけに詳しいな』
「あー……短大の時付き合ってる人が横浜だったから、それで」
『ああ、ダメ男の元彼な』
まぁ、その通りではあるものの、さすがに自分からそうですとは言えずに「課長、どこか行きたいところありますか?」と聞いたけれど、ないと即答されてしまった。
『おまえのプランに任せる。横浜なんかどう転んだって何かしらあるだろ』
「まぁ、そうですね。移動手段がないわけでもないですしね」
『じゃあ、待ち合わせは11時に横浜駅な。詳しい場所は着いてから電話で待ち合わせればいいだろ』
「分かりました」
「じゃあ、おやすみなさい」と言うと、電話の向こうからは『はえーよ』というククッという笑い声が聞こえてきて。
それもそうかと思い「じゃあ……日曜日に」と言い直すと、まだ声に笑みが残る課長が『ああ。じゃあ日曜にな』と言い電話を切った。
身体を乗り出して、スマホをローテーブルの上に置いてからソファーに座り直し、そういえば課長と電話とか初めてだったなと思う。