俺様上司と身代わり恋愛!?
初めてなのにも関わらず……あんなに志田さんとのノロケ話をしてしまった自分を反省しながら、さっきの課長の笑みを含んだ声を思い出していた。
平日はずっと聞いている声なのに、電話越しだと少し違って聞こえた気がする。
耳に意識が集中するせいか、その声はいつもよりも近く感じたし、柔らかさみたいなモノもあった気がする。
改めて考えてみると桐崎課長の声って好きかもしれない。なんだか落ち着くし。
そんな今更過ぎる発見をしてから、そうだ、美絵に日曜日の事を言っておかないとと思い、再びスマホに手を伸ばす。
桐崎課長は美絵と横浜デートするって事になってるんだから、その美絵が当日家になんていたら大問題だから。
桐崎課長は笹谷専務の手前、美絵は美絵のお父さんの手前、きちんとデートを数回重ね、きちんと考えた結果の破談を演出しなくちゃいけないんだし。
美絵の代役を務める以上、何かあったらマズイ。
桐崎課長的にも、美絵的にも非常に。
日曜日のお昼から夜までデートって事にして外出するようにとメールを打ってから、背伸びをひとつしてお風呂に入るために立ち上がった。