俺様上司と身代わり恋愛!?
コンプライアンス課っていうのは、社内での問題行動を取り締まる部署だ。
たとえば、今課長が言ったようなセクハラパワハラ問題や、人間関係。
もっと身近なところで言えば、喫煙所以外で煙草を吸っている人がいるだとか、そういう、ちょっとした困った問題も相談できる。
銀行に、クリーンなイメージはかかせないとかで、今はかなり力を入れているから、本当に小さなことでも相談するように、と上から重々言われている。
まぁでも、そこまでする必要もないかなーと思いながら、「はい」と答えると、課長がまた頭の中を見透かしたように睨みつけてくるから。
「それより、マリンタワーに上ってみません?」と、山下公園から既に見えているマリンタワーを指さして誤魔化した。
コンプライアンス課だとかは大げさだし、どうせ一時の事なんだから我慢してしまった方が楽だとも思う。
私は性格的に、自分の気持ちを突き通すよりも、我慢してしまう方が合ってるというか、今までそうして過ごしてきたから。
自分の気持ちを呑み込んでしまった方がよっぽど楽だ。
けれど、前回同様、やっぱり課長の言う、ちょっと面倒くさいなぁと思ってしまうような言葉を、嬉しいと私は感じていて。
それがやっぱり不思議だった。