夜の図書室で
 とりあえず、前を向いておけば問題なさそうだ。


「あれって、持ってる人の誰かが動かしてるのよね、無意識で。もしくは、誰かが自分で動かしてる。どっちにしろ、幽霊が下りてきて、動かしてるわけじゃない」


 急に背中に寒気がして、なんとなくふり返ったら、ナナちゃんがいた。後ろの机の、左側に立っていた。


 いつから、いたんだ。


 ああ、そうだ。僕はとりつかれていたんだ。


「僕は早く終わらせたいんだよ」


 とっとと終わらせて、ナナちゃんに成仏してもらわなければ。自殺した幽霊にとりつかれた状態が続いているなんて、怖いじゃないか。
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