夜の図書室で
「あ、また来てくれたんだ」


 ナナちゃんの、ちょっと嬉しそうな声がした。


「あ……」


 気がつくと、ナナちゃんは教室の前の、右のほうにいた。現実だけど、CGみたいだ。


「あの……」


「ねえねえ、ちょっと、話を聞いてよ。思いだしたことがいっぱいあってね」


 いっぱいあるんだけど、聞いてよ。
 それから、ナナちゃんは僕の返事を聞く前に、話し始めた。


「中学生になっても、駄菓子が好きなことは変わらなかったな」


「うまい棒は、チーズ味が好きだった」


「白い錠剤みたいな、オセロの白い駒みたいなヨーグルト味のラムネがあって。あれは自分で食べるんじゃなくて友達にあげるために買ってた」
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