夜の図書室で




 嬉しそうに、ナナちゃんは話していた。



「また思いだした」


「私、ファンタが苦手だったんだけど、私以外のみんなは平気だったのよ」


「で、あるとき、ファンタの缶を回し飲みしなきゃならなくなって。


 女の子は、一人でいる女の子に冷たいものでしょ? ここで断ったら、なにか良くないことになるんじゃないか、って瞬時に不安になって、我慢して飲んだ。


 それで、なんともないような顔して。でもやっぱり、苦手なものは苦手なのよね。すぐにでも水を飲みたくなったけど、近くに水飲める場所なんてないから、ただ我慢し続けたのよ」


「あー懐かしい。これ、小学生のことじゃないかな?」
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