夜の図書室で
 死んで花実が咲くものか。


 死んだら、咲けないんだよ。終わりなんだよ。


 終わらせちゃ、いけなかったんだよ。


 自然に枯れるまで、生きてみたらよかったのに。



 ナナちゃんが、笑えないことを冗談のように言って、わざとらしく明るくふるまっていたのは、向き合えない現実があったからなんじゃないか。


 嫌なことがあると、なにか別のことを考えて、現実逃避をする。その嫌なことについて、なるべく考えたくない。だからほかのことで気をまぎらわす。


 僕が嫌がらせをされたあと、犯人を心の中で見下していたのも、似たようなものだったのかもしれない。
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