年下だけはないと思ってたんだけど。
いつだったか、わたしが珍しくタートルネックの服着てたとき。
「それ着てる理由、”鎖骨に俺がつけたアトが残ってるから”とか言えたらいいなって、馬鹿みたいですよね」だって。
いや、馬鹿みたいだよ。
ほんと、バカみたい。
ネクタイを緩めた、その下の鎖骨を想像させられたわたしも。
もしその、明るく、人気者で、誰にでも優しい君が、誰にも見せない顔があるとしたら。
きっとその”アト”をつけるときなんだろうな。
それを唯一知ってる人間になれたらどうなるだろう、なんてね。
「好き」って言われても、
「付き合いたい」って言われても、
「愛してる」とか言ってても、
そういう誰にも見せないとことか、隠してる部分とか、人に踏み込ませない領域ってのを少なからずみんな持ってて、相手のそれに侵入したいって思ったら、もう相当キテると思うんだ。
侵して、入りたい、んだもんね。