恋することを知った恋

キュッキュッと何度も、床は音を立てた。

その音は今のこの体育館では、高い天井まで届いてあたしの耳に返ってくる。

「確かにね」

そこは誰ひとりいない、無音の空間。

「杏里、あたし的には更衣室にあると思うんだけど」

麻奈美は手を横に広げてふざけて回しながら、あたしを振り返ってそう言った。

「見てみる」

あたしたちは、体育館の奥にある更衣室に向かった。

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