恋することを知った恋
間違いなく、湧太先輩だった。
そういうことか…。
あたしが麻奈美に話を聞こうとすると、それよりも先に麻奈美が笑顔で店員さんに声をかけた。
「一緒ですっ」
「ご一緒でしたか、ご案内いたします」
店員さんの言葉に頷いた麻奈美は、嬉しそうにしながらその後ろに着いていく。
もちろん、あたしの手首を掴んだまま。
でも麻奈美と湧太先輩だけなら、あたしは気配を消していればいいだけだし、まあいいか。