恋することを知った恋

先に黒瀬先輩と湧太先輩が向い合わせに座っていた。

その湧太先輩の隣に麻奈美が座った。

あと空いている場所。

「杏里も座りな?」

――やっぱり、黒瀬先輩の隣しかない。

湧太先輩にそう声をかけられたあたしは、座ることを一応少しためらってみる。

そんなあたしの姿を見て、麻奈美がまた先輩たちに気づかれないように、にやっと笑った。

覚えとけ、麻奈美。
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